◆◆◆万博で日本ができること◆◆◆
上海万博開幕まであと3日。
プレスとして現地に入っている私の友人は、日々Twitterで実況を語ってくれている。
今回の万博の規模の大きさに驚く一方で、国ごとにパビリオンの完成度もまちまち、
まだ建設中、という施設も多いという。お国柄が現れているのかもしれないが、いずれ
にしても今回の万博は来場者の予測が1億人を超えるという史上最大規模になる
だろうことは間違いないだろう。日本の出展企業も、「日本の強み」を打ち出そうと趣向
を凝らしている。
業績の悪化や国内市場の停滞により、企業も個人も「内にこもる」傾向が強まっている
一方で、中国は積極的に海外に向かっている。すでに日本は中国に追い上げられている
という状況の中で、日本は独自の「強み」を認識し、アピールする必要に迫られていると
言えるだろう。今回の万博の「日本館」では、日本の「魅力を見せるショーケースとして、
美しい風景ばかりでなく、メーンは日本が誇る技術だ」と経済産業大臣政務官の高橋
千秋氏は意気込みを語っている。キヤノンは画像取り込み技術と印刷技術を用いて、
国宝の「風神雷神図屏風」などを精密カメラで撮影し、実物大で精密印刷する、といった、
「美点と技術」の融合がコンセプトとなっている。「より良い都市、より良い生活」という
万博のテーマのもとで、日本の技術が世界に認められることを願っている。
◆◆◆アジア「近代化」と「脱近代化」◆◆◆
少し硬い話になるが、日本と中国、両者の関係とそれぞれの国際的立場はどのように
変わっていくのだろうか。今回の万博の勢いもあり、中国のGDP(国内総生産)が
日本を抜き、米国に次ぐ世界第2位の経済大国になることは間違いない。万博は
躍進する中国の発展ぶりを世界に示すいい機会となるだろうが、実は中国はすでに
グローバル経済に組み込まれている。
「日本の10倍の人口を持つ国が近代化の道をばく進すれば、経済の総量において
遅かれ早かれ日本を調節するのは自明の理」と国際公共政策研究センター理事長
田中直毅氏は断言する。そして、日本のGDPが中国に抜かれること自体には大きな
意味はないと言う。
そこで日本が直面する転換期で重要なのは、明治維新以来、アジアの近代化の担い
手であると自任してきた国際的な立場が、すでに中国に移っているということだ。
田中氏はこの命題を、中国の「近代化(モダニゼーション)」に対する日本の「脱近代化
(ポストモダニゼーション)」という視点でとらえている。
脱近代化とは、すなわち中国の近代化に対して自分たちをどのように「差異化」できるか、
ということだ。中国政府が1978年の「改革開放」で現代化(=近代化)として掲げた4つの
ポイントは、「農業」「工業」「科学技術」「国防」だ。当初は近代化には100年かかるとさえ
言われていたが、それから30余年ですでに達成の域に入ろうとしているのは驚異的だ。
これからの日本は、近代化のチャンピオンという座から引きずり降ろされたことを認識し、
近代化という土俵ではなく中国との差異化を通じて自らのよって立つ基盤を作り上げ
なければならない。
それを支えるのは技術力を誇る大企業ばかりではないだろう。私がセミナーでよく使う、
これからの日本のあり方を示す表現として、「資金力」に基づいた海外進出の時代から
「小さくとも深みと多様性のあるビジネス」が海外へ輸出されるべきだと言っている。
それこそ、中小企業の出番であると私は感じている。
ターゲットを中国にするかどうかは商品次第だが、中国はいま内需拡大と海外進出の
狭間の中で政府の方針すら安定していない。それがいまの中国の柔軟性となり、強さ
ともなっていると言えるが、その中で勝負するのは日本の企業体質に向いているかと
いう疑問が起こる。
ことEC(電子商取引)に関して言えば、中国の市場はB to B、B to Cを合わせると、
日本の市場を追い抜く勢いだが、その内情は欧米のそれとかなり異なっている。つまり、
企業の売り方も、消費者の買い方も、日本や欧米の常識では考えられないような
実態を持っているのだ。日本のビジネススタイルは、明らかに欧米に近い。中国市場が
活発であることは間違いないが、「だから中国で成功する」と盲信するのは危険だと感じる。
今回はちょっと話が逸れたが、これから少しずつ中国の消費文化について語っていこう。
海外戦略事業部 I.N
