◇◇◇中国の3つの年代◇◇◇
前回、中国の改革開放前後の世代で消費傾向から一般常識まで大きく異なっていると
書いたが、それを簡単にまとめてみよう。
【80后(バーリンホウ=1980年代生まれ)】
現在の20代に該当する。前回も触れたが、改革開放経済とともに安定した時代に育った
最初の層であり、中国国内でも常に注目され続けてきた。日本での、「平成生まれ」に
対する関心に近いとも言えるが、改革開放という大きな転換の後の世代であることに
強い意味がある。
彼らが20代となり、社会に出始めたことで、今の中国消費市場の大きなポジションを
占め始めた。そんな彼らの消費傾向は、非常に積極的である。博報堂グローバルHABITが
毎年行っている現地調査の2009年版では、
1)新製品はすぐに試してみる方だ。(49.0%)
2)流行など新しいものの刺激を受ける生活がしたい。(27.7%)
と、新しいものに対する関心が高く、それがそのまま消費行動に移りやすい。と同時に、
3)多くの人が同じものを持つと興味がなくなってしまう。(21.8%)
という特徴も併せ持っている。
また、後にも述べるが、中国人はブランドへの信頼度を非常に意識している。
(1)の「新製品」というのは、裏に「信頼できるブランドの新製品」という意味を持っているのが
知っておくべき特徴だろう。
積極性は消費行動だけではなく、仕事に対しても特徴的で、もともと競争社会が定着して
いる中国でも、この年代は「努力してなにかを成し遂げたい」(39.1%)と思っている割合が
高い。
【90后(ジョウリンホウ=1990年代生まれ)】
現在の10代だ。現在は当然学生が大部分を占める。昔日本で言われた「新人類」的な印象を
中国国内でも持たれている層と言える。消費行動でも、「衝動買いを良くする」(33.7%)という
人が多く、「買う前によく値段を比較する」(19.8%)人が少ないという特徴を持っている。
とは言え、学生であるので消費力にも限界があり、購入単価はそれほど高くない。が、この傾向を
そのまま持って5年、10年が経った時、消費ターゲットとして強く注目されることは間違いない。
インターネット文化に慣れ親しんでいるのも大きな特徴で、多くの情報を得ながら「自分の感性や
感覚を磨いていきたい」(36.6%)と思っている人が多いように、ライフスタイルは感覚的であり、
感情的であるとも言える。その結果、個性や価値観が多様化しており、伝統的な年代層からは
非難されることもあるなど、その辺も「新人類」的な世代だが、中国の未来を予測する上で
無視できない年代である。
【70后(チーリンホウ=1970年代生まれ)】
改革開放直前に生まれた30代である。消費経済があまり豊かでなかった時代を経験している
ことから、比較的「理性的」に判断する傾向があるのが特徴だ。
それは、「計画的な買い物をすることが多い」(29.2%)と答える人が多いことでも感じられる。
この層は、結婚での妻や子への養育費に加え、不動産の高騰にも直面しており、非常に
苦労している年代と言える。自らを「子供の奴隷」と卑下することが流行ってしまっているのが
悲しい現実だという。
先に「理性的」に判断する、と言ったが、その基準は「ブランド」が意識されることが多い(31.2%)。
だがここでは、バーリンホウが好む「高級ブランド」という意味では捉えられていない。質のいいもの
には、ネームバリューがついてくる、という発想であり、ネームバリューがあるから質がいい、という
若年層の発想とは逆転している。ライフスタイルにおいても「理性的」で、「安定した生活を送って
いきたい」(48.5%)という意識が際立って高い。
◇◇◇現代の日本人との感覚の違い◇◇◇
同じグローバルHABITのデータで上海と日本を比較すると(国土の広い中国では都市間の「多様性」
が大きい、ということも前回述べた。そのため比較対象を上海に定めている)、両国の経済状況が
如実に表れているように感じる。
まず、「買う前に値段をよく比較する」という項目に対して、日本は約70%にも達しているが、
上海では約30%である。長期の不況に耐えている現代の日本人の消費意識がここで強く表れており、
6年前から10ポイント以上も上昇している。景気悪化に歯止めがかかったと言われ始めているが、
消費傾向が回復するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
面白いのは、「役立つアドバイスをしてくれる店は重要だと思う」と考える日本人が多い半面で、
上海の人たちはそれほど店員の意見を信用していない。中国人が信頼しているのはむしろ周囲の
知人の意見であり、ネットや口コミを通じて、興味を持つ商品の情報を集めることに余念がない。
中国での企業や製品のブランディングが困難な原因は、こんなところにあるだろう。
中国市場には、日本と同様に商品で溢れているが、ブランドの数も異常に多い。欧米に日本、さらに
韓国や国産のメーカーがひしめき合っているのだ。コピー製品も多いことから、消費者は製品の
品質を判断する基準として、自分自身の使用経験や口コミのほか、商品の広告に起用している
タレントのレベルなども重要視している。つまり、中国でブランド力を高めて商機を獲得するには、
ターゲットとする年代を定めたうえで、多種多様な手法を用いてPRする必要があると言える。
ターゲットによって戦略を変えるという前提に立って、チェックすべき項目を挙げてみよう。
1)新しい消費市場を牽引するのはバーリンホウ(20代)。
2)チーリンホウ(30代)以上の年代の財布の紐は固い。
3)ジョウリンホウ(10代)が社会に出る時代になった時に消費傾向は再び変動する。
そして最後に中国市場参入における必要条件としてひとつ挙げると、
◆ブランドが浸透するまでの、広告や口コミを活用した地道なPR活動◆
と言える。
◇◇◇今後の中国での販売戦略◇◇◇
ブランド浸透へのツールとして非常に有効になってくるのがやはり、インターネットだ。
中国のインターネットユーザーの人口はすでに3億8400万人(2009年12月現在)に昇り、
世界一のインターネット大国となっている。総人口に対する普及率は欧米や日本に比べはるかに
低いが、それでも20%近くにまで上昇を続けている。
「実物を見ないと信用しない中国ではEコマースの普及は難しい」という従来の観念は覆され、
ネット人口の爆発的な増加は、ネットショッピングにおける潜在人口3億、という巨大なEC市場を
構築させる起爆剤となっている。
そんな中国の動きを受けて、次回からは、「中国市場開拓のためのWebプロモーション」について
語っていきたい。
海外戦略事業部 I.N
前回、中国の改革開放前後の世代で消費傾向から一般常識まで大きく異なっていると
書いたが、それを簡単にまとめてみよう。
【80后(バーリンホウ=1980年代生まれ)】
現在の20代に該当する。前回も触れたが、改革開放経済とともに安定した時代に育った
最初の層であり、中国国内でも常に注目され続けてきた。日本での、「平成生まれ」に
対する関心に近いとも言えるが、改革開放という大きな転換の後の世代であることに
強い意味がある。
彼らが20代となり、社会に出始めたことで、今の中国消費市場の大きなポジションを
占め始めた。そんな彼らの消費傾向は、非常に積極的である。博報堂グローバルHABITが
毎年行っている現地調査の2009年版では、
1)新製品はすぐに試してみる方だ。(49.0%)
2)流行など新しいものの刺激を受ける生活がしたい。(27.7%)
と、新しいものに対する関心が高く、それがそのまま消費行動に移りやすい。と同時に、
3)多くの人が同じものを持つと興味がなくなってしまう。(21.8%)
という特徴も併せ持っている。
また、後にも述べるが、中国人はブランドへの信頼度を非常に意識している。
(1)の「新製品」というのは、裏に「信頼できるブランドの新製品」という意味を持っているのが
知っておくべき特徴だろう。
積極性は消費行動だけではなく、仕事に対しても特徴的で、もともと競争社会が定着して
いる中国でも、この年代は「努力してなにかを成し遂げたい」(39.1%)と思っている割合が
高い。
【90后(ジョウリンホウ=1990年代生まれ)】
現在の10代だ。現在は当然学生が大部分を占める。昔日本で言われた「新人類」的な印象を
中国国内でも持たれている層と言える。消費行動でも、「衝動買いを良くする」(33.7%)という
人が多く、「買う前によく値段を比較する」(19.8%)人が少ないという特徴を持っている。
とは言え、学生であるので消費力にも限界があり、購入単価はそれほど高くない。が、この傾向を
そのまま持って5年、10年が経った時、消費ターゲットとして強く注目されることは間違いない。
インターネット文化に慣れ親しんでいるのも大きな特徴で、多くの情報を得ながら「自分の感性や
感覚を磨いていきたい」(36.6%)と思っている人が多いように、ライフスタイルは感覚的であり、
感情的であるとも言える。その結果、個性や価値観が多様化しており、伝統的な年代層からは
非難されることもあるなど、その辺も「新人類」的な世代だが、中国の未来を予測する上で
無視できない年代である。
【70后(チーリンホウ=1970年代生まれ)】
改革開放直前に生まれた30代である。消費経済があまり豊かでなかった時代を経験している
ことから、比較的「理性的」に判断する傾向があるのが特徴だ。
それは、「計画的な買い物をすることが多い」(29.2%)と答える人が多いことでも感じられる。
この層は、結婚での妻や子への養育費に加え、不動産の高騰にも直面しており、非常に
苦労している年代と言える。自らを「子供の奴隷」と卑下することが流行ってしまっているのが
悲しい現実だという。
先に「理性的」に判断する、と言ったが、その基準は「ブランド」が意識されることが多い(31.2%)。
だがここでは、バーリンホウが好む「高級ブランド」という意味では捉えられていない。質のいいもの
には、ネームバリューがついてくる、という発想であり、ネームバリューがあるから質がいい、という
若年層の発想とは逆転している。ライフスタイルにおいても「理性的」で、「安定した生活を送って
いきたい」(48.5%)という意識が際立って高い。
◇◇◇現代の日本人との感覚の違い◇◇◇
同じグローバルHABITのデータで上海と日本を比較すると(国土の広い中国では都市間の「多様性」
が大きい、ということも前回述べた。そのため比較対象を上海に定めている)、両国の経済状況が
如実に表れているように感じる。
まず、「買う前に値段をよく比較する」という項目に対して、日本は約70%にも達しているが、
上海では約30%である。長期の不況に耐えている現代の日本人の消費意識がここで強く表れており、
6年前から10ポイント以上も上昇している。景気悪化に歯止めがかかったと言われ始めているが、
消費傾向が回復するにはまだまだ時間がかかりそうだ。
面白いのは、「役立つアドバイスをしてくれる店は重要だと思う」と考える日本人が多い半面で、
上海の人たちはそれほど店員の意見を信用していない。中国人が信頼しているのはむしろ周囲の
知人の意見であり、ネットや口コミを通じて、興味を持つ商品の情報を集めることに余念がない。
中国での企業や製品のブランディングが困難な原因は、こんなところにあるだろう。
中国市場には、日本と同様に商品で溢れているが、ブランドの数も異常に多い。欧米に日本、さらに
韓国や国産のメーカーがひしめき合っているのだ。コピー製品も多いことから、消費者は製品の
品質を判断する基準として、自分自身の使用経験や口コミのほか、商品の広告に起用している
タレントのレベルなども重要視している。つまり、中国でブランド力を高めて商機を獲得するには、
ターゲットとする年代を定めたうえで、多種多様な手法を用いてPRする必要があると言える。
ターゲットによって戦略を変えるという前提に立って、チェックすべき項目を挙げてみよう。
1)新しい消費市場を牽引するのはバーリンホウ(20代)。
2)チーリンホウ(30代)以上の年代の財布の紐は固い。
3)ジョウリンホウ(10代)が社会に出る時代になった時に消費傾向は再び変動する。
そして最後に中国市場参入における必要条件としてひとつ挙げると、
◆ブランドが浸透するまでの、広告や口コミを活用した地道なPR活動◆
と言える。
◇◇◇今後の中国での販売戦略◇◇◇
ブランド浸透へのツールとして非常に有効になってくるのがやはり、インターネットだ。
中国のインターネットユーザーの人口はすでに3億8400万人(2009年12月現在)に昇り、
世界一のインターネット大国となっている。総人口に対する普及率は欧米や日本に比べはるかに
低いが、それでも20%近くにまで上昇を続けている。
「実物を見ないと信用しない中国ではEコマースの普及は難しい」という従来の観念は覆され、
ネット人口の爆発的な増加は、ネットショッピングにおける潜在人口3億、という巨大なEC市場を
構築させる起爆剤となっている。
そんな中国の動きを受けて、次回からは、「中国市場開拓のためのWebプロモーション」について
語っていきたい。
海外戦略事業部 I.N
